正直なところ、友人の文章が読めさえすればよかったのだ。けれども、ついついページをめくる手が止まらなかった。一冊の本が、手に取った人とどのような時間を過ごしてほしいのか。かたちに始まり、置いてあることばや、写真や挿絵の入り方、企画からそれが匂い立っていた。とりわけ「ほんとうのじかん」はとてもいい。
いたるところに編集部や執筆陣の会話の息遣いや足取り、それを支える生活の一端を感じることができる。安全で風通しがいいところには、こうして人が集う。
最後に編集後記に出会った。ブログをきっかけに文通を始め、ふたりは本をつくることになり、ひとり、またひとりと仲間を誘ったという。わたしも、一通の手紙をきっかけに一冊の本をつくったところだった。
● 川村庸子 twitter
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創刊号掲載「いとしい隙」執筆の黒坂氏とはご友人関係という川村さん。園編集部は制作時、黒坂氏から紹介された川村さん編集「言葉の宇宙船 わたしたちの本のつくり方」(ABI+P3共同出版プロジェクト)に感銘を受け、何度も読んではニヤニヤとしたものです。